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発信元:事務局
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「新社会人となる大学生の不安、受け入れる企業の不安 ~スマホ、SNS世代の新社会人の受け入れ対策は万全か?~」 JSSEC 利用部会・啓発事業部会・Re:inc

2017年3月3日
2022年8月29日

日本スマートフォンセキュリティ協会(JSSEC)は2017年2月8日、都内のベルサール神田において、「JSSEC セキュリティフォーラム 2017 スマートフォン/IoT、その先にあるICT社会のセキュリティについて考える」を開催しました。JSSECでは、これまで「スマートフォンのセキュリティ」をテーマに様々な活動を展開してきましたが、今回は「IoT」や「AI」「制御システム」など、スマートフォンから一歩踏み込んだシンポジウムを企画しました。利用部会および啓発事業部会と、小・中・高校生向けにネットの安全について啓蒙活動を行っている学生団体「Re:inc」(リンク)では、合同セッション「新社会人となる大学生の不安、受け入れる企業の不安 ~スマホ、SNS世代の新社会人の受け入れ対策は万全か?~ 」を開催。社会人と学生の間の「ITギャップ」について報告しました。

JSSECの2部会と学生団体Re:incのコラボ・セッション
利用部会、啓発事業部会、そして学生団体「Re:inc」の合同セッションは、それぞれの代表者による活動内容の報告から始まりました。利用部会を代表し、まずは部会長である後藤悦夫氏(株式会社ラック)が登壇。安心・安全なスマートフォン利用のために、情報収集と課題の整理を行い、情報発信するという利用部会の目的を発表しました。

後藤氏が利用部会の具体的な活動成果として紹介したのは、「スマートフォン&タブレットの業務利用に関するセキュリティガイドライン」です。

同ガイドラインは、スマートフォンなどのモバイルデバイスを仕事で使うときの注意点について、チェックシート方式で簡単に理解できる教育ツールです。2011年12月に初版を公開し、2014年4月に第2版をリリースしており、JSSECのウェブサイトよりダウンロードできます。

また、中期的な課題として後藤部会長は2点を挙げました。1つは「1億総活躍時代のモバイルワークとセキュリティ」です。働き方改革やモバイルワークが進展すると、デバイスの進化に合わせて新たなセキュリティを検討していく必要がでてきます。また仕事だけでなく、例えば子育てや介護においてもデジタル技術による改善が期待され、それに応じた新たなセキュリティ対策の必要性が高まっています。

もう1つは「スマホを基軸としたIoT時代のセキュリティ」です。スマートフォンの利用シーンは今後引き続き変化しながらも、利用者における「情報窓口」としての重要性は、ますます高まっていくことが予想されます。「セキュリティも世の中の変化に対応していく必要がある」と後藤氏は強調しました。

利用部会では、利用者の視点でセキュリティを検討していくにあたり、「スマートフォンから始まる未来」をイメージした新たなロゴ(イラスト)を製作。スクリーン上に披露しました。

「スマホ世代」が新社会人に、受け入れる企業は何をすべきか
次に啓発事業部会の活動について部会長である小池勉氏(株式会社コンテンツブレイン)が登壇しました。

部会の成り立ちについて小池氏は、「B to BのサポートがJSSECの本来のあり方だが、スマートフォンが普及していく中で、一般の生活者や子どもたちが安心してスマートフォンを活用できるよう、B to Cの分野への注力を視野に啓発事業部会を立ち上げた。部会名にある『事業』とは、JSSECとして啓発活動の事業化に貢献していくという意味が込められている」と説明しました。

その事業の具体例として、学生団体「Re:inc」との協業を紹介しました。Re:incが行っている小・中・高校生向けのセキュリティ・ワークショップにおいて、JSSECはワークショップの運営、資料作成のサポート、セキュリティの情報提供などで支援しています。

さらに、そのワークショップに参加した人たちからスマートフォンの利用状況をアンケート調査し、レポートとしてまとめる活動も展開しています。

今後の方向性として、小池氏は子どもたちを対象とした教育に加えて、これから新社会人になる大学生に対するセキュリティ啓発を挙げました。スマホ世代が会社に入ってくるとどのようなことが起きるのか、受け入れる企業の側はどうすべきなのか。まさにこの日のテーマでもあります。「今日をキックオフとして、社会全体の啓発教育につなげていきたい」と小池氏は目指す方向性について示しました。

「デジタルネイティブ」同じ立ち位置から子どもたちにアプローチする
続いて中央大学4年生の窪田大悟さんが登壇し、代表を務める学生団体Re:incの活動をプレゼンテーションしました。学生団体Re:incは、「ネットいじめ」などのインターネットトラブルに巻き込まれる中・高校生を減少させることを活動目的の一つに掲げています。東京、神奈川の5大学15名のメンバーによって運営されている「サイバー防犯ボランティア団体」です。

メインの活動は小・中・高校生向けワークショップの開催で、2015年度は小学校、中学校、高校あわせて9校で開催。ほかに親子向けのワークショップや、保護者・PTA向けの講演会なども開催しています。

「Re:inc」の強みは、子どもと接する際に「大人の言葉」を使わないことです。年齢の近い大学生が語りかけることで、子どもたちが素直に受け入れてくれると言います。また、大学生も幼い頃からデジタルデバイスに囲まれて育った「デジタルネイティブ」であり、子どもたちと同じ立場で理解し合えるところも多く、こうしたメリットを活動にも生かしています。

窪田さんは、「子どもたちにトラブルの事例を提示し、小グループごとに問題点を話し合い、『なぜ?』『どうなる?』と想像力を働かせるように導く」ことがワークショップではポイントになると説明しました。

さらに合同セッションでは、Re:incのワークショップの実演として、慶應義塾大学の岩田裕介さんが「その服かっこよくない?」という会話をLINEなどのコミュニケーションツールで発信する際の注意点について取り上げました。

本人と顔を合わせた際の会話であれば、否定の「かっこよくない」と、同意を促す「かっこよくない?」の違いを、イントネーションによって伝えることができます。一方SNSへ書き込まれた文字情報だけでは、誤解を与えてしまうことがあることを示しました。

岩田さんは、子どもたちにもネット上のトラブルを減らすために、次のような言葉で導いていると語りました。
「送信、投稿前にひと呼吸――他人はどう思うだろう」
「返信が来ないときは?――もしかしたら忙しいかも」
「これって正しい情報?――信憑性があるか確かめよう」
「冗談?おふざけ?――でも伝わるかな?」
「相手のことを考えてあげよう――SNSではより一層の思いやり」

これらへの注意喚起は、子どもたちに向けてだけではなく、すべてのネット利用者に共通のものだと言えます。
Fig
調査で浮き彫りになった大学生と社会人の「ITギャップ」

このセッションを共催する3チームの活動紹介に続いては、「大学生・社会人のネット意識調査」の結果が発表されました。

これは、テーマである「新社会人となる大学生の不安、受け入れる企業の不安」がどのあたりにあるのかを探り出すために、今回JSSECが行ったものです。大学生からはWEBアンケートによって441人の回答、社会人はJSSEC会員でこの日参加している22人の回答を得ました。

以下、主な質問と回答をピックアップしてみます。

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■日常的に使うコミュニケーションツールは?
Fig
・大学生
LINE 80%
Twitter 45%
Instagram 24%
・社会人(個人)
電子メール 68%
LINE 68%
Facebook/Messenger 59%
・社会人(仕事)
電子メール 100%
SMS 32%
社内チャット 32%
※大学生と社会人でもっとも顕著な違いだったのは「電子メール」でした。個人、仕事ともにトップだった社会人に対し、大学生はわずか18%に留まっています。

■電子メールの使用(受信内容の確認)頻度は?
Fig
・大学生
週に1度 41%
使わない 24%
ほぼ毎日 18%
・社会人(仕事)
ほぼ毎日 100%
(他の選択肢は0%)
※大学生の電子メールの使用頻度が非常に低いことがわかります。

■(大学生に質問)新人教育として要望したいもの
Fig
電話対応 44%
メールの書き方 44%
IT機器セキュリティ 43%

■(大学生に質問)LINEで繋がってもいいのは?
友人 84%
家族 82%
同僚 72%

■(大学生に質問)使用で上司と繋がる必要があると言われたら?
Fig
・SNS
我慢するが困る 37%
転職を考える 11%
とくに困らない 38%
わからない、ほか 15%

・携帯番号
我慢するが困る 30%
転職を考える 7%
とくに困らない 51%
わからない、ほか 11%

■(大学生に質問)スマホとPC、スマホの方が便利なものは?
Fig
SNSに投稿する 80%
メール送信 71%
調べる 63%
授業でメモを取る 39%
論文やレポート 8%
※「論文やレポート」以外、全体的に便利に使われているのがわかります。

■(大学生に質問)スマホとPC、PCの方が便利なものは?
論文やレポート 80%
授業でメモを取る 27%
調べる 22%
メール送信 16%
SNSに投稿する 9%
※PCは「論文やレポート」のみハイスコアでした。

■(大学生に質問)テキストを打つ場合、どちらの方が便利?
Fig
・授業のメモ
スマホ 39%
PC 27%
どちらともいえない、どちらもしない 34%
・論文やレポート
PC 80%
スマホ 8%
どちらともいえない、どちらもしない 11%

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調査結果の発表で、第1部は終了し、続く第2部のパネルディスカッションへ引き継がれました。

【編集協力:Security NEXT 企画制作部】

2017年3月3日
2022年8月29日
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